「転職活動を開始したいなあ」と転職を意識し始めた時に、まず最初に押さえておくべきは転職の流れです。
なぜなら、転職活動の全体像を理解していないと、スケジュールが組めませんし、適切な準備もできないからです。

例えば、今から転職活動をすると年明けに転職するのが無難なスケジュールだなとか、具体的に求人に応募する前に、転職の軸を決めるための自己分析の期間を設けないとなとか、転職活動全体の流れを理解していることで対策できることは多いものです。

そこで、この記事では、転職活動の基本として、転職の流れについて解説します。

特に「転職活動をこれから始めたいなあ」という転職の初期段階の方にいらっしゃる方に参考にしていただければ幸いです。

1.転職の流れ3つのフェーズと9つのステップ

転職の流れを押さえるには、転職活動を、3つのフェーズと9つのステップで分解するとわかりやすいと思います。
転職の流れを細かくつかめるように、それぞれのステップについて詳しく解説します。

【第1フェーズ】転職の準備をする

①転職の軸を定める

「転職の準備」を行うにあたって、まず最初のステップは、転職の軸を定めることです。

なぜなら、転職活動の軸が定まっていないと、転職を実現しても、それまでの不満が解消されなかったり、新たな不満が生まれて、転職が良い結果につながらない可能性が高いからです。

転職の軸を定めるというのは、転職の目的を定めるということ。「転職して実現したいことは何か?」「どんな自分になりたいか?」という問いへの答えを見つけることです。

得てして転職の目的が、現状への不満の解消になっていることは少なくありません。

例えば、転職の目的として

・今の職場の人間関係から逃れたい
・給与を上げたい

といったことを挙げるケースがあるでしょう。しかし、これらは転職の目的として掲げるには物足りません。

というのも、いずれも現状への不満に過ぎず、その不満の裏にある自分の期待まで突き詰められていないからです。

今の職場の人間関係に満足していないということは、自分の期待と現実にギャップが有るということです。自分の期待とは何なのか?、なぜ、今の職場でその期待を満足させることができなかったのか?といったことを考えることで転職の目的が明確になってきます。

自分の考えを深掘りして、転職の目的を明確にすることをしないと、せっかく転職しても、また職場の人間関係に不満を持ってしまうということになりかねません。ですので、転職の目的と理想像をしっかり考え、転職の軸を定めることが、「転職の準備」の第一の段階となります。

転職の軸を定める方法については、別記事(【プロが解説】自分に適した求人の探し方のコツは3つの手順を踏むこと)で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひ、参考にしてください。

②転職活動のスケジュールを立てる

「転職の準備」を行うにあたって、次のステップは、転職活動のスケジュールを立てることです。そのためには、転職活動の各ステップにかかるおおよその時間を把握しなければなりません。

なぜなら、おおよその所要時間を把握していなければ、希望の転職時期からの逆算ができませんし、無理に時間短縮しようとすることで逆にスケジュールが伸びてしまうこともあるからです。

例えば、急ぐあまりに、事前準備を1週間でやろうとして、転職の軸が定まらないまま次のステップに進むといったケースがあります。その結果、内定を獲得しても決断ができず、転職活動をやり直すということもあり得るのです。

ですので、転職の準備を行うにあたって、転職活動の各ステップにかかるおおよその時間を把握しておくことが大事なのです。

③自己分析や情報収集を行う

「転職の準備」を行うにあたって、最後のステップは自己分析や情報収集を行うことです。転職の軸を定めた上で、どんな職種に就くのか、どんな会社に勤めるのか、具体的に自分に適した求人を探すための準備をする必要があります。

なぜなら、自ら定めた転職の軸に沿って転職先を検討する際に、業種や職種など様々な選択肢が存在するからです。ここでしっかりとした情報収集や自己分析をしないと、自分に適した求人を見つけることは困難になります。

例えば、1on1など、上司との業務上のコミュニケーションが活発な環境の会社で自分の力を試したいといった転職の軸を立てたとします。

この軸に沿って求人を捜す際に、IT系のベンチャー企業で希望を実現できる可能性もありますし、社長が代替わりした老舗の専門商社で実現できる可能性もあるわけです。営業職でもマーケティング職でも事務職でも実現の可能性はあり、様々な業界や職種の選択肢が存在することがわかります。

ですので、それらの業界研究や職種研究などの情報収集をしたり、自己分析や適性検査を通じて、判断に迷ったときに自分が他にどんな条件を重視するのかを探ることも必要となるのです。

このように、「転職の準備」の最終ステップとして、自分に適した求人を見つけるための、情報収集や自己分析が欠かせません。

【第2フェーズ】転職活動を行う

①求人を検索する

具体的な「転職活動」を行うにあたって、まず最初のステップは、具体的に自分に適した求人を検索することです。
第1フェーズの、転職の準備で転職の軸を明確にしたと思います。その転職の軸をベースに、「幅広く求人をピックアップする」→「自分に適した求人を絞り込む」という流れで進めるのが良いでしょう。

自分に適した求人の探し方については、別記事(【プロが解説】自分に適した求人の探し方のコツは3つの手順を踏むこと)でも解説していますので、参考にしてください。

また、求人の検索方法には次の3つの方法があります。

①自分で仕事を探す
②仕事を紹介してもらう
③企業に見つけてもらう

②書類作成・応募を行う

具体的な「転職活動」を行うにあたって、次のステップは、書類作成や応募を行うことです。

自分に適した求人を見つけたら選考に進むために、履歴書や職務経歴書などの書類作成と応募を行います。書類選考を通過することができなければ、面接で自己アピールすることすら叶いません。

採用担当者から会ってみたいと思われるような魅力的な書類を作成しましょう。

求人サイトを利用して応募をしている際は、求人サイトに登録しているWEBレジュメが書類選考時の資料となる可能性が高いので、実際に応募する前に、WEBレジュメを洗練させておくことが重要です。
応募時にメッセージを送れる機能がある際は、企業ごとに志望動機やアピールポイントなどを付け加えておくと、好印象ですね。

なお、書類作成や応募を行うにあたっては、自分自身で行う方法もありますし、転職エージェントを活用する方法もあります。いずれかの方法を使いながら、具体的に書類作成・応募を行うのが、「転職活動」の第2ステップです。

③面接を受ける

具体的に「転職活動」を行うにあたって、最後のステップは、面接を受けることです。

書類選考を通過したら、いよいよ面接を受けます。しっかりと自己アピールができるように準備と練習をしておくことが大事です。

例えば、具体的な面接の準備としては、

・面接での質問例などを参照する
・質問への回答例を作成する
・面接対策動画を見る

などができるでしょう。

また、面接の練習としては

・一人でロールプレイをしてみる
・ロールプレイをWEB録画し、改善する
・模擬面接を受ける

などを行うことが可能です。

面接回数は企業によってバラバラですが、2回程度行うケースが多く、面接の合間に、適性検査があることも少なくありません。

最近は、様々な取り組みをする企業が増えており、ちばキャリ掲載の企業でも、1回の面接で採用を決める企業や面接の前にカジュアル面談を設ける企業なども増えてきています。
求人サイトに選考ステップを記載していることも多いので、しっかりチェックしておくことが大事ですね。

なお、面接に当たっては、アピールするだけでなく、企業を選別するという視点も大事です。その際には、逆質問も効果的です。
逆質問に関しては、別記事(あなたにとって適切な転職先か判断するための面接時の逆質問20選)で詳しく解説していますので、興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

【第3フェーズ】内定を受諾し、入社する

①内定を受諾する

「内定後」の流れとして、まず最初のステップは、内定を受諾することです。

内定を受諾するにあたっては、注意点が3つあります。

1.給与や待遇をしっかり確認すること
2.内定通知書をしっかりと受け取ること
3.入社に迷いがある場合は選考プロセスを追加してもらうこと

人生を左右する重要な意思決定ですから、慎重に行う必要があります。疑問や不安な点があれば遠慮せずに確認することが重要です。

ちなみに、転職エージェントを使って応募している際は、不安な点や疑問点の確認のサポートをしてくれるというメリットもあります。それについては、別記事(転職を成功させるための転職エージェントの賢い使い方)で解説していますので、興味のある方は参考にしてください。

②退職準備をする

「内定後」の流れとして、次のステップは、退職準備をすることです。
退職準備に関して大事なポイントは次の2点です。

・社内外への告知を行うこと
・業務の引き継ぎを行うこと

内定先に転職することを意思決定した後は、立つ鳥後を濁さずできれいに退職することが大事です。社内や社外に退職の説明をするとともに、しっかりと引き継ぎ業務を行いましょう。
自分も周りも気持ちよい関係で終えるのが、新しい会社でスタートするための基本となります。

③入社をする

「内定後」の流れとして、最後のステップは、入社をすることです。

特筆することはありませんが、入社にあたっての注意点は、早期に活躍するための準備をすることです。
職場での人間関係を円滑に築き、具体的な業務に慣れるための準備を行いましょう。

2.転職の流れをスムーズに進めるための2つのポイント

前章では、転職の流れとして、3つのフェーズ、9つのステップに分けて解説しました。

この章では、改めて、転職の流れをスムーズに進めるための2つのポイントについて解説します。
転職の流れをスムーズに進めるためには、特に次の2つのポイントが重要となります。

1.事前準備を丁寧に行う

1-②でも少し言及しましたが、転職の流れがスムーズに進まない最大の要因は、準備段階で転職の軸が定まっていないことです。転職の軸が定まっていないと転職スケジュールが伸びてしまう可能性が高いのです。

なぜなら、応募先が定まりませんし、書類作成に時間がかかる上、面接の通過確率も上がりません。さらに、仮に内定をもらってもなかなか決断できないということが多々あるからです。

転職の軸が定まっていないために、複数社から内定をもらった結果、最後の決断ができずに転職活動をやり直すといったケースも少なくありません。そうならないためにも、転職の軸を定めるという第1ステップの質を高めることがとても重要となります。

転職準備が満足にできていると判断できるまでは次のステップに進まないことが重要ですし、自分一人でうまく転職の軸が定められないときは、転職エージェントなどのキャリアカウンセリングを受けることもお勧めです。

2.時期をしっかり見極める

もう1つ、転職の流れがスムーズに進まない要因は、転職活動の時期が悪いということがあります。特に第2フェーズの「面接を受ける」時期に、集中して活動できる環境が整えられるように転職スケジュールを組まないと、転職活動が滞る可能性が高まります。

なぜなら、「面接を受ける」時期に集中して活動できる環境が整っていないと、転職スケジュールが伸びてしまいますし、それによって選考で不利になることが増えるからです。

集中して活動できる環境が整っていない状況としては、例えば、

・会社の繁忙期で残業が多く、有給休暇をとれる状態ではない
・大きなプロジェクトを抱えていて、余裕がない

といったことがあります。

「面接を受ける」時期がこれらの状況と重なると、面接日程の調整が難航します。その結果、他の選考者に先を越されてしまったり、自分自身の集中力が持たず、面接でよいパフォーマンスが発揮できなかったり、思慮深い判断ができなくなる可能性も高まるのです。

面接日程に関しては、業務開始前の早朝や業務後、土日に対応していくれる会社もありますが、有給休暇を取得して、平日の対応ができる余裕のある状態を作ることが理想です。有給取得までできなくても、業務後に疲れ切って面接を受ける気力が残っていないなんて状態は避けたいですね。

現職が忙しい方は特に、「面接を受ける」時期をいかに短期決戦で乗り切るかがとても重要です。
転職の流れをスムーズに進めるために、「面接を受ける」時期が繁忙期に重ならないように意識して、転職活動の時期を見極めましょう。

3.まとめ

この記事では、転職の流れについて、3つのフェーズ、9つのステップで解説しました。

転職の流れの全体像を意識して、しっかりとスケジューリングすることの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。

第1フェーズの初めの段階からだと、入社までに5カ月近くの期間を要することも考えられます。自分の将来を変える人生の転機ですから、転職の流れをしっかり理解して、戦略的な活動をすることが大事ですね。

Leave a Reply